June 24, 2017

夏を目前に……

うっかり、4か月以上も更新していませんでした(汗。


前回の投稿でご案内した「第13回 小金井音楽談話室」を含むプロジェクト。
GW直前と連休明けに、スイス・バーゼルのスコラ・カントールム講師でアーリー・ミュージックにおける気鋭の演奏家であるコリーナ・マルティさんと、わが国を代表するチェンバロ&ヒストリカル・ハープ奏者の西山まりえさんによる、中世ヨーロッパの音楽復興プロジェクト企画を、東京といわきで開催しました。

鍵盤楽器の源流に迫る最新の研究成果として、フランス国立図書館に眠っていた“ツヴォレのアンリ・アルノー”の図解入り文書を発見したマルティさんが、それをそのまま製作しては実演に耐えるクオリティを確保できないことからさらに研究を進め、北イタリアや東欧の古い協会に残る壁画に描かれたこの楽器の絵を多数調査。そこから細部にわたる造作が明かになり、ようやく現代に蘇った「クラヴィシンバルム」。
ハンス・フォン・メムリンクやヒエロニムス・ボッシュの描いた中世キリスト教絵画に登場する竪琴「ゴシック・ハープ」や、2本の縦笛を同時にくわえて演奏する「ダブル・フルート」。
中世北イタリアのフィレンツェで編纂され、ロレンツォ・メディチ図書館に所蔵されて現代に伝わる豪華な楽譜“スクアルチャルービ写本”の中に描かれる、盲目の天才音楽家として当時一世を風靡したフランチェスコ・ランディーニの肖像画にもある「オルガネット」。

これら中世に活躍した楽器のみを用いて、12世紀から15世紀にかけて作られた曲を演奏するコンサート、まずは
4/28(金)午後の「ランチタイムコンサート」(@フレンチレストラン TERAKOYA)
と、
5/12(水)夜の「第13回 小金井音楽談話室」コンサート(@小金井 宮地楽器ホール)
にて、多くのお客さまに500~800年前のヨーロッパ音楽をご堪能いただきました。

5/11(木)にはいわきに移動して、まずは小名浜第二小学校の4年生65人への「おでかけアリオス」。アリオスが所蔵する一段鍵盤18世紀モデル(ツェル、1742年のコピー)のジャーマンチェンバロ(8f×8f)も運び、クラヴィシンバルムとの音色の聴き比べ、ダブルフルートとゴシックハープも使って、13世紀スペインの修道院での祈りの音楽、14世紀北イタリアの舞曲から18世紀フランスのラモーとドイツのバッハまでヨーロッパ各地を時間軸に沿って旅するプログラム。子どもたちからもらった感想のなかで、特に印象的だったのは「こういう音楽がこの世界にあって良かった」というものでした(^-^)

5/12(金)は、「アリオス☆ワンコインコンサート」。“鍵盤音楽の歴史をたどる”コンサートとして、クラヴィシンバルムで13世紀の音楽を、アリオス所蔵の16フィート弦付2段鍵盤ジャーマンチェンバロで盛期バロック音楽を聴き比べ。またオルガネットで14世紀イタリアの音楽を、アリオス所蔵のポジティフ・オルガンで15世紀イタリア・ルネサンスの音楽を比較して聴き、お楽しみいただきました。
昼の部と夜の部の間の空き時間には、市内の神谷に3年前にオープンした回廊美術館という野外アートスペースにて、「アリオスペーパー」の表紙に使用する写真の撮影にもご協力いただきました♪

5/13(土)の午前には、「キッズルームシアター」。アリオスのキッズルームを会場に、0歳から4歳の子どもたちとその保護者の方を対象にミニコンサート♪
お母さん方も珍しい楽器に興味津々のご様子で、終演後には、簡単な見学会も(^-^)。

昨年の初来日のコンサートを聴き、直感的に閃いた今回のプロジェクトでしたが、無事に終えられてホッとしています。

 ***

実はその前、ちょうど今年に入ってからは、オープニングのプロデュースを引き受けていた「浦安音楽ホール」の準備も佳境に。浦安市との調整、指定管理者への引継ぎ、月刊『ぶらあぼ』編集部との広報打ち合わせなどなどを経て、3/25の「プレミアム試奏会&内覧会」を無事開催、4/8に開館を迎えることができました。これで私の任務(開館請負人?)も万事終了、隠居の身に戻りました。

それと並行して、「立川市民オペラ〈カルメン〉」にも乗っていました(^m^)。
立川市民オペラに参加するのは2012年3月の〈トゥーランドット〉以来、たましんRISURUホールがリニューアルオープンしてからは初めてでした。そして〈カルメン〉全幕に参加するのも、1992年の「第1回立川市民オペラ」以来25年ぶり。(いやー、結構覚えているものです)。そして、今は伊勢の市民オーケストラで活躍しているH君が、やはり25年ぶりに参加してくれまして、懐かしい顔ぶれで演奏(^^)。

 ***

その後は、6/10(土)にいわき市平の“レストラン Kitao”で開催された半年に一度のディナー・コンサートに出演。

今回のメインは、すでに身体に馴染んだ(^^;、

ビゼ―/歌劇「カルメン」から、
前奏曲~衛兵交代~アラゴネーズ~ハバネラ
~セギディーリア~ジプシーの歌

をメドレーでお聴きいただく、というものでした。選曲はサラサーテの「カルメン幻想曲」に入っているものをヒントに(1曲足りないですが)、闘牛士の歌を入れる代わりに前奏曲、そしてラッパといえば……の部分。

例によっていくつかの楽器を持ち替えて、と思っていたのですが、結局は、前奏曲からハバネラまでBb管、セギディーリアとジプシーの歌の4分の3までをG管ソプラノビューグルで、そして最後の締めに入る前(転調)で、またBb管に持ち替え。良く知られた、美しい曲の連続なのですが、思った以上に口がキツく、直前までマウスピースの選択に苦慮することに。
最終的に、管の厚いG管には Bach 1C のスロートを22に、バックボアを24に広げた(いつもウォーム・アップに使っている)ものを、Bb管には Hamond Design の 4ML を使うことで解決。

その他、〈テレマン/「英雄的音楽」〉の1番~3番(今年は没後250年です)を、ピッコロに Lasky の 60P を組み合わせて、また久々に〈アンダーソン/トランペット吹きの子守歌)を、今回はBb管に Bob Reevse の C2J の組み合わせで、などなど、お集りの皆さまにもお楽しみいただけたようでした♪


次の本番は2週間後の、府中医療センターでのアンサンブル「ヴィーノ・ミニ」による四重奏(ピアノ、ヴァイオリン、クラリネットに、トランペット)コンサート。
30分ほどの持ち時間ですが、いきなりガーシュウィンの「サマータイム」(^^; から始まる〈夏のメドレー〉や、〈レハール/「メリー・ウィドウ」ワルツ〉のほか、メンバーによる楽器紹介を兼ねたソロ(私は使いまわしでアンダーソンの子守歌を選曲^^;)などを演奏することになっています。

 ***

そして8月の終わりには、立川オケの定演。

「立川管弦楽団 第72回定期演奏会」
https://www.tachikawa-orchestra.info/concert

8/27(日) 14:00開演
たましんRISURUホール

■指揮:古谷誠一

■プログラム
G.ホルスト/組曲「惑星」より「火星」、「木星」

G.マーラー/交響曲第1番 ニ長調

※今回は「入場無料」! ご来場を心よりお待ちしています♪


いや、何というプログラム!? と思われるでしょうが……さらに現在の立川オケ、諸事情により下に回ったり降りたりは全然許されない状況で。。。


楽器はピストンのC管1本で変えようがないので(イギリスものだからとホルストをBb管にしたり、後半マーラーでロータリーに持ち替えるのはちょっと……>_<)、あとはマウスピースをどうするか、今回も思案。

実はすでに、

・木星の有名な「第四主題」にある少しのソロ
・マーラー 1楽章の pp と p の部分(ファンファーレの前は差し替えられないので除外)
・同 2楽章のトリオ
・同 3楽章

について、C2Jを使って吹くことに決めています(併せて、マーラーではセカンド氏にも、2、3楽章でBach 5Vを使ってもらうことに)。
問題は、それ以外のところ……

火星の3ページ目にあるソロと、4ページ目、上のGを14小節間ずっと吹き続けるところが嫌(>_<)。

木星は、曲の最後の最後に出てくる High-C を絶対外せない(>_<)。

マーラーは何といっても4楽章をちゃんと吹き通せないと、その音楽の意味が半減(>_<)。しかし、後半2ページがキツいの何のって……

通常、C管を吹く時は Monett の B2D を使います。何だかんだいっても、やっぱり音色優先。そしてスロートが大きいので息が入りやすく、カップの容積も深めが好みの自分にちょうど良いのです。同じ Monett の C2 と比べても、吹奏感と音色の暗さ加減の結果が良いみたいです。

しかし、火星の「14小節のG」はともかくキツい。また木星も、ずっと Monett で吹いていくと(途中マウスピースを使い分けるので)、最後の High-C は結構キツい(>_<)。本番は1発勝負、とはいえコンディションによってはちょっと不安。

でも、マーラーの終楽章はともかく口がキツいので、結局あるところまでは、息が良く入る Monett の方が長持ちするのです。普通のマウスピースでは、息が詰まって入らなくなり、唇が閉められなくなるような感じでバテてしまう……とはいっても、最後には上の A や H が当たらなくなるのは同じですが(汗)。

それで、またいくつか新しいマウスピースを試そうと、
・GR 66.8 B(←なぜか、Bb管用が合いそう)
・YAMAHA TR-SHEW-JAZZ(一度Bb管で使用して感触が良かった)

を試しているほか、
・そもそも、Monett の一回り小さいサイズ(B3とかB4とか)
・Schilke 15(懐かしいCO2タイプ)
・Bach 1-1/2Bあたりと同サイズのもの

などを検討中。さて、どうなりますことやら(汗。

***

あ……一つ大切なことを書き忘れていました。

現在、立川管弦楽団トランペット・パートでは20代・30代の、オーケストラで1番を吹いていらっしゃった方で、入団して一緒にトランペットを吹いても良い、と思ってくださる方を募集中です(恐縮ですが、簡単なオーディションがあります)。
立川管弦楽団のWEBサイト、またはこのブログのコメント欄より、ぜひご連絡ください♪
https://www.tachikawa-orchestra.info/join-us

どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m


(7/11追記)
ここまでの、お試し中のいくつかのマウスピースの感触は……

・GR 66.8 B(←なぜか、Bb管用が合いそう)
 →いまいち合わない(>_<;)みたいで、結構つらい感触です(T_T)

・YAMAHA TR-SHEW-JAZZ(一度Bb管で使用して感触が良かった)
 →Bb管でハイトーンを出すには最高! ですが、問題の「G」あたりを出すのがあまり得意ではないマウスピースのようです(>_<)。High-BbやHigh-Cはお手の物なのに……

・Schilke 15(懐かしいCO2タイプ)
 →重くて、きつい感じです(>_<)。ノーマルの15とは全く別物のようです。。。

・Bach 1-1/2Bあたりと同サイズのもの
 →これが今回、当たりかもしれません。入手したのは、Jun's の「SymphonyStandard」2-1。素晴らしく美しく、精度の高い作りのマウスピースです。


それとは別に、YAMAHAの珍しいマウスピースを入手。
「MP 14F4」というものです。このマウスピースは、トップ部分がフリューゲルホルン用のマウスピースと同じ、アンダー部分がトランペットと同じというもの。
……実は、「マーチングメロフォン」用にデザインされたマウスピースです。普段使い慣れている Bob Leeves の C2J とはカップデザインが違い、いわゆる「カップ」を形成する凸型カーブがついています(C2J は、完全にホルンのマウスピースのような凹型の形状です)。そのため、マウスピースの全長もトランペットと同じ(C2J はフリューゲル用と同じ長さ)です。楽器につけて吹いてみると、音程は全く問題なく、やわらかく太い音が出ました。


(7/17追記)

Jun's の Symphony Standard 2-1 を(やっと)試せました(^^)。
結論は、すごく楽。――これには驚きでした。
サウンドも、明るめですが響きに余裕があり、「鳴らす」ということに労力を使う必要がありません。楽々となっているように聞こえます。
「火星」から、「木星」、マーラーと実際に全曲を通してみて、懸案だった箇所もこのマウスピースのおかげで、やっと安心できる目途が付いたようです(^^)。

もう一つ、YAMAHAの MP 14F4 もセカンド氏に吹いてみてもらいました。Bach 5V よりも音色が柔らかく太くなり、アンサンブルがよい感じにまとまってきました。吹き込む息のスピードや圧力がトランペットとは異なるので、小回りが利くようになるにはもう少し慣れてもらわなくては、ですが(^m^)

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February 20, 2017

【小金井音楽談話室13】 5/10(水)開催♪「騎士と貴婦人~中世イタリアとフランスの宮廷舞曲」♪♪

気が付くと、2月も3週間が過ぎようとしています……(汗。

三寒四温、いや、三寒二温ともいうべき目まぐるしい気温の高低で、すっかり風邪をひき込んでしまいました(>_<)

そんな中でも、先日は調布特別支援学校の関係でNPO団体が主催しているコンサートに、昨年に引き続き、アンサンブル・ヴィーノのメンバーからピアノとヴァイオリン、クラリネットに、トランペットという編成で出演♪

この編成では、G管ビューグルにBobReevsのC2Jを使って、中音域を厚めに演奏すると結構いい感じになります☆
花を持たせてもらうところでは、同じC2JをマーシンキヴィッツのBb管につけて演奏すれば、音色もバランスも非常に楽に合わせられます。
この編成での本番も10回以上となるので、どのくらいの加減で演奏すればよいかもすっかり会得したみたいです(*^_^*)。

 * * *

さて、5月に開催する小金井音楽談話室公演も、チケット予約が開始となりました♪


♪第13回 小金井音楽談話室
騎士と貴婦人~中世イタリアとフランスの宮廷舞曲
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  2017年5月10日(水) 18:30開場/19:00開演

   小金井 宮地楽器ホール・小ホール
     (JR中央線 武蔵小金井駅南口駅前)

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 ◆ 出 演:

   コリーナ・マルティ
     (クラヴィシンバルム、中世リコーダー)

   西山まりえ
     (中世ゴシック・ハープ、オルガネット)


   ※ご案内:足立優司 (いわき芸術文化交流館アリオス)

 ◆ 曲 目:

   英国図書館 Ms Add 29987(ロンドン写本)より

    ・エスタンピー
       〈楽しいことの始まり〉
       〈トリスタンの哀歌とラ・ロッタ〉

    ・サルタレッロ
   
   ファエンツァ図書館 MS117(ファエンツァ写本)より

    ・〈美しい花の踊り〉

   パリ・フランス国立図書館
   フランス叢書 1514(マショー写本)より

    ・ギョーム・ド・マショー
       〈私が家路をたどるとき〉
                      ほか

 ◆ 入場料:

   全席自由 2,800円、シニア(65歳以上)2,300円、
   学生1,800円

   ※指定エリアを設けています※
    ご予約の先着順で20名様は、指定エリア(前2列)に
    お座りいただけます
    (小金井音楽談話室のみのお取扱い)


 ◆ 主催・お問合せ:
   小金井音楽談話室 042-388-8099
       E-Mail : koganei-music◎kch.biglobe.ne.jp
       (◎をアットマークに変えてください)
      ※メールにてチケットご予約の方は、お名前と
        ご連絡先、枚数をお知らせください。

   ムジカキアラ 03-6431-8186


 ◆ チケットのお取り扱い場所
   ・TERAKOYA 042-381-1101
       小金井市前原町3-33-32 ※月曜定休
   ・菊屋文具店 042-381-1379
       小金井市本町1-7-6 ※水曜・日曜定休
   ・セレクトショップゆうすい 042-301-7347
       小金井市中町4-14-15(前原坂上交差点角)
       ※日曜・祝日定休
   ・ブックスキャロット 042-387-0031
       小金井市梶野町5-1-5(東小金井駅北口すぐ)
       ※年中無休
   ・小金井 宮地楽器ホール2F事務局
     (窓口のみでのお取扱い)


  ◆ 後援:小金井市、小金井市商工会


※よろしければ、下記のブログもご覧ください♪
http://adieemusic.air-nifty.com/
 

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特別企画 (限定30席)

「ランチタイム・コンサート」
 ~老舗フレンチ・レストランで過ごす 至福のひととき~

※日時  4月28日(金) 13:00~15:30頃 (12:30 受付開始)
※会場  フレンチレストラン TERAKOYA

※ 本公演と日時・会場が異なります。ご注意ください ※


 都内屈指のフレンチ・レストラン Terakoya で、一流シェフがこの日のためにご用意する特別メニューによる本格的なフレンチ・コースと、一流演奏家による生演奏をお楽しみになりませんか?
 5/10(水)の本公演に出演する、コリーナ・マルティさんと西山まりえさんによる生演奏をすぐ近くでお聴きいただけます♪ 
 ぜひ、お早目にお申込みください。

◎演 奏 : コリーナ・マルティ&西山まりえ
          ※演奏時間は40 分程度です
〔演奏予定曲〕
 ファエンツァ図書館写本より
   〈ある日、美の女神は〉
   〈キリエ〉
   〈コンスタンツァ〉
 13世紀・大英図書館写本より
   〈夏は来たりぬ〉
             ほか
〔料金〕
・ランチタイムコンサート:6,000 円
  (お食事とミニ・コンサートのセット)

     ◆ Menu ◆
     アミューズ~オードヴル~ポタージュ
     ~メイン(お肉料理)~デザート
     ~コーヒー or 紅茶

 TERAKOYAオーナー・シェフ : 間 光男

※ご予約受付は一週間前 〔4月21日(金)〕 までとさせていただきます。
※公演の3日前よりキャンセル料が発生します(3日前~30%、当日100%)。

・・・  ・・・

♪ ランチタイムコンサートのご予約・お問合せは・・・
 小金井音楽談話室 Tel 042-388-8099
   E-mail : koganei-music◎kch.biglobe.ne.jp (◎をアットマークに変えてください)

 TERAKOYA  Tel 042-381-1101


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 科学の発達した現代とは異なり、人びとが信仰心を篤く持っていた時代。そうした中世のヨーロッパで描かれた絵画には、人びとにとって身近な存在として、様々な楽器を手にした“天使”たちが登場します。彼らが神様を賛美してきた音楽、つまり“祈りと音楽が人々にもっと身近だった時代”に作られ、演奏されていた楽器とは、どのようなものだったのでしょうか?
 その謎を解き明かすべく、絵画からそこに描かれている楽器の設計図を書き起こし、現代に蘇らせる試みが始まっています。そうした研究の中心地、スイス・バーゼルのスコラ・カントールムで同級生として出会ったのが、本日登場のお二人、西山さんとマルティさんでした。二人はそれぞれ復元楽器に取り組み、今や“最先端”の演奏として、ヨーロッパ各地で絶賛されています。
 この“伝説のデュオ”が私たちに聴かせてくれる典雅な響きによって、ご来場の皆さまに夢のような音楽世界をお楽しみいただきます。どうぞお楽しみに!


  * * *

「音楽を身近に」――

 東日本大震災から6年、熊本県を中心に九州各地を襲った大地震から間もなく1年。被災地では、人々の「心の復興」、「日常生活の回復」のために音楽が、芸術が大きな役割を果たしています。震災の後、私たちは福島県いわき市にて芸術文化による災害復興の取り組みを基礎とし、非常時に心を守るものは「日ごろから音楽を愉しむライフスタイルを構築しておくこと」であることを伝えるため、「小金井音楽談話室」の取り組みを続けてきました。人が想像を越えた非常事態に直面した時に、最後は人の五感を震わせ、癒し、奮い立たせる力を持つ芸術だけが拠り所となる、という事実を基に、私たちは近い将来に富士山の噴火や南海トラフ大地震、首都直下型地震の発生も予想もされている現在の東京において、非常時への「心の備え」のひとつとして、日ごろから芸術に親しんでおくことの重要性を訴え続けたいと思っていたのです。
 つい最近まで、東京において震災の記憶は薄らいでいたことは事実です。しかし、私たちは、何時大規模自然災害に遭ってしまうか分からないのです。ですから発信すること・語ることを止めたとしたら、人々が災害の非常事態に際して、どのようにすればよかったのかという記憶も、瞬く間に風化していってしまうでしょう。
 長年、私たちが生活している「母なる街」小金井市に共に住む人たちに、いわき市での取り組みで学んだ、音楽芸術の持つ意義を少しでも伝え、日ごろから音楽を身近に感じていただきたいと、私たちは願っています。

 「小金井音楽談話室」では、これまでにアンケートや対面にて貴重な声を数多く聞かせていただきました。特にその中でも多かったのが、市民の方にとっての芸術文化の「拠点」となるに相応しい小金井宮地楽器ホールにおいて、生の演奏会を気軽に楽しめる機会が増えたことを喜んでいただけている、というものでした。「音楽を身近に」という私たちの願いが、少しずつでも届いていることの表れと、その言葉に力づけられています。
 今後は、こうした声をきちんと聞きながら、小金井市における「芸術文化の振興」を最適化していくことが求められています(ここで言う「芸術文化の振興」とは、単なる興行やイベントの実施のみを指すのではなく、小金井市民の方がたが身近に、電車や車などでわざわざ市外に赴かなくても気軽にアートに触れる機会を確保することを目指すものです)。

 アートに触れることの真の目的は、人の心を癒し、好奇心を喚起することにより、激しいストレスに曝される現代社会における人びとの「生活の質を向上させる」ことです。更に先の震災以来、非常事態に際して「人びとの心を守る」ことが加わりました。より手軽にこうした芸術文化に触れることができる環境整備を積極的に行い、心豊かな市民生活の支援を行うことで、小金井市が持つ魅力をより高め、「住みたい街」にしていくことにも繋がることを願い、本公演を実施するものです。
 どのような施設(ハード)を造るか、ではなく、造った後にそこで何が行われるか(ソフト)が重要であり、それこそが豊かな市民生活を支援することに繋がるのだと、私たちは考えます。

 ♪ ♪ ♪   ♪ ♪ ♪

 興行やコンサートの開催だけがホールの価値ではなく、日常生活における芸術文化の重要さを日ごろから地域の方々に伝え、「生でクラシック音楽を聴く」という時間を生活の一部に取り入れていただきたいという、新たなライフスタイルのご提案をさせていただくことを願い、本公演を実施するものです。
 音楽を身近に愉しむ方法にはいろいろなスタイルがありますが、私たちは特に「生で音楽を愉しむこと」の意義を、小金井市民の方々にお伝えしたいと願っています。それは演奏家の息づかいを肌で感じ、「そのときそこにしかない」一期一会の出会いの中で、お互いが伝え、受け取るという営みの中で成立する、かけがえのない時間だからです。それはまた、人と人との繋がりが希薄になっている昨今、日頃よりほんの少し親密な時間を、重過ぎることなく皆様に共有していただくことによって災害や非常時にも強い、しなやかな「新しいコミュニティ」を築いていくことにつながると考えています。


 * * *

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January 19, 2017

♪1/22(土) メサイア本番♪

寒中お見舞い申し上げます。

新年が明けて、気が付いたらもう1月も後半(汗。

今年は4月に、オープニング事業アドバイザーとして携わっている新しいホール=「浦安音楽ホール」がオープンを迎えます。

いろいろと困難なこと、思い通りにはいかないことも多いですが、足元を固めながら一つ一つクリアして、浦安の新しい、「良き伝統」の第一歩を記して、引き継いでいきたいと考えています。

***

今週土曜日に、小平市にあるサレジオ小・中学校の講堂で、サレジオ関係者によって開催される「メサイア」に出演します♪

第一部の出番はカットなので(^^;、第二部「ハレルヤ」と、第三部「Trumpet shall sound」と「羊は屠られて~アーメン」の3曲が乗り番。

「Trumpet shall sound」は1年半ぶり。ヘンデル得意の「小さなヘミオラ」を意識して、走らず遅れず、メッサ・ディ・ヴォーチェも気を付けながら音楽的に演奏することを目指します。

今回も、これの後すぐに終曲に行くので、なかなか大変です(^m^)が、楽しみでもあります。

***

「羊は屠られて」のなかに、ピッコロトランペットでは、4ヴァルヴでも出ない低音(Low-A)が書かれています。

ですがこれ、シルキーのP5-4だと、4番管を目いっぱい抜いて、全バルブを押すと、あとはベンディングで調整すれば出すことができます。1と4を押さえて出す下の「ファ」(Low-D)はこの、管を目いっぱい伸ばした4番ヴァルヴのみを押さえると出せるのです。

あっ、管の長さの合計的にはズレていますが(^^;、これはティルツ5Bのマウスピースのバックボアを、ピッコロで使うために拝藤さんに削ってもらったヤツを使っているから、このバランスになっている訳です。

……という訳で、コンサートの概要です。

***

東日本大震災復興支援 第6回チャリティコンサート
ヘンデル:メサイア

1月22日(土) 14:00開演(13:30開場)
サレジオ小・中学校 講堂

入場無料ですが、入場時に募金をお願いします。

指揮:鳥海 寮
オルガン:西岡 崇
合唱・器楽:このコンサートに集いし仲間たち

***

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December 08, 2016

♪♪A.リード/バラード♪♪

気が付くと、12月も一週間が過ぎ、驚くことに、今日で●歳となりました。こんなに年を重ねてもなお、自分がいつまでも未熟なことが悔しい反面、実母が逝った年齢に近づいていることへの、不思議な感慨も……

そうした今日この頃、少しは意味のある人生を模索することが大切なんじゃないか、と、この機会にヴィクトール・フランクルの『夜と霧』をきちんと読んでみることにしました。今は、何もすること・できることがなくても、きっと意味はあると信じて……

***

時代が前後するので、もちろん全く関係がないと言うことも可能ではありますが、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲について考えているとき、フランクルの言葉に出逢ったことで、何かが繋がった気がしたのです。
これは、個々の偉大な人たちに接点があったとか無かったなどではなく、それを超えた何か、この時代のドイツに存在し得た何かが関係しているのかもしれません。ヘーゲルから、キルケゴールへ、また、フランクルへ、そしてマックス・ウェーバーへ、ニーチェへ。

それが、ベートーヴェンから、メンデルスゾーン・シューマンへ、またリスト・ワーグナーへ、またブラームスへ、そしてリヒャルト・シュトラウスへ、と重なる、とか。


…ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第4番、第11番(ゼリオーソ)と、第12番というプログラムによるコンサートの曲目解説執筆にまつわる考察の一端です。

***

12/17(土)に、いわき市平のレストランKitaoで開催する、毎年恒例の「クリスマス・ディナーコンサート」に今年も出演することになり、演奏曲として、アルフレッド・リードの「アルトサクソフォンのためのバラード」をトランペットで吹くことに決めました。決めました、って、非難轟轟かもしれませんが……

そもそも、特定の楽器のために書かれている作品については、別の楽器で演奏することには困難が伴ったり、作曲の意図を無視する場面があったりと、慎重にならざるを得ないものです。
しかし、リードさんもすでにお亡くなりになっており、その作品の評価も確立してきている現在、作品のすばらしさを少しでも多くの方に知ってもらい、また自らの研鑽の一環としても、手掛ける意味を見つけられそうな気がして取り組むことにしたものです。

フレーズが長く、旋律の上がり下がりも頻繁で、休符が少ないことによって、ともかくトランペットには不向きの曲ではあります。。。
しかし、サクソフォンよりも音色変化の幅が広い(と思っている)トランペットで、この旋律を演奏する訓練を続けることは、唇には大きな負担がかかりつつも鍛錬に繋がり、また表現力の向上にも貢献してくれるのでは、と考えています。

最初の一連のフレーズについては比較的演奏が容易なので、中盤以降と音色を変えて音楽に変化を付けることを考えて、深いVカップのマウスピース(C2Jか、5Vか…)で吹くことも検討中。中盤からはCカップ(1-1/4C)にして、最後の再現部ではカップミュートを付ける。ここはエネスコの「レジェンド」と同じ構成です。

まだ、最後まで音を並べるのに精一杯で、全く余裕がありません(>_<)が、何とか究めつつ、最後には安全策も用意して、お客様に楽しんでいただけるように頑張ります♪

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September 23, 2016

芸術の秋~新しいこと♪

昨日は秋分の日、しかしこのところはずっと雨模様で……

ジメッとしているのがいよいよ感覚的に限界に近づきつつあり、少し大型の除湿器を購入することに。
パナソニック製のハイブリッド型除湿器。夏はエアコンと同じコンプレッサー方式で除湿、冬はゼオライトを使って除湿した後にヒーターを使って湿気を水に還元するデシカント方式の、両方が気温によって切り替わる、というもの。しかもパナソニックお得意の「ナノイー除菌」機能付きです。

ところで、8月から新たな仕事を任命され、取り組み始めています。劇場コンサルティング会社を手伝い、今度新しくオープンする予定のホールのオープニング事業をプロデュースする、という仕事です。

コンサルタント2人と、実際に交渉などに当たってくれるディレクター、それに広報のアドバイザーの5人でチームを組んでいます。間もなく情報公開もできる予定ですが、300席のクラシック音楽専用ホールという、非常に“尖った”ホールですので、いろいろと苦労も多いですが、楽しみも多い仕事です。

思えば、新しいホールのオープンを手掛けるのもこれで3館目、ずいぶんとノウハウも蓄積されてきたかな(その分、がむしゃらに突っ走れない部分も^^;)、と思います。
いわきで隠居した途端、こういう依頼を受けることになったというのは、やはり巡り合わせだなー、と。地に足をしっかりと付け、一歩一歩着実に進めていく所存です。


***

この秋は、結構詰まった日程でのコンサートが4つ。

10/2(日) 14:00からは、すっかり常連となった
福島工業高等専門学校吹奏楽部定期演奏会@いわきアリオス

指揮:市島 徹


続けて、
10/9(日)には、14:00開演で、
立川管弦楽団 第71回定期演奏会@たましんRISURUホール

指揮:古谷誠一  ピアノ:石井楓子※
曲目:ブラームス/「悲劇的序曲」
    ヒンデミット/交響曲「画家マティス」
    ブラームス/ピアノ協奏曲 第1番※

そして、
11/5(土) 16:30開演、
大津市立打出中学校創立70周年記念
吹奏楽部OB・OG演奏会@大津市民会館

指揮:森嶋洋一、中西芳路、中島民男 星田茂之


最後は、
12/17(土) 18:30から
クリスマス・ディナーコンサート@フレンチ・レストラン Kitao (いわき市平)


***

最近、ちょっと珍しいトランペットを2種、研究のために。

・XO SDモデルの初期ロット
黄色の銀メッキ。メッキの擦れや剥がれも、凹みもほぼナシ。グローバルの拝藤さんがオリジナル設計をされ、ジュピターの工場で生産されている楽器です。以前、トランペットのレッスンをしていた高校生の子が楽器を購入したい、ということになり、付き添いでD社に行った折にちょうど池端さんもいてくださり、アドバイスをもらいつつ、Y社の楽器数種とB社の楽器、そしてXOのRVモデルと一緒に吹き比べをしたのですが、個人的にもこれが、他のどれよりも音と音のつながりがスムーズで吹きやすく、その子とも意見が一致した、という楽器です。
以来、機会があればと思っていました。

・Nikkan Imperiale TR-331
1967年製造の、純国産トランペット。当時は最高ランクの楽器でした。特徴的な赤ベルが少し大きめに凹んでいたところを修復した跡があります。バルブケーシングが2ピースで、主管支柱と1番管にサムフックを増設してありますので、遠目には手持ちのMt.Vernon - Bach と似ています。音色は暖かく柔らかい、赤ベルのイメージ通りのサウンド。
思い返すと、中学の時に最初に吹いたトランペットは、学校の備品だったニッカン・インペリアルだったことを思い出しました。ラッカーもボロボロに剥げた楽器ではありましたが……今回の楽器はデッドストックだったらしく、ラッカーがほぼ(8割以上)残っています。

研究した後は、しかるべきところに回す予定です(^^)。気に入っちゃって、回すのを止めたりする、っていう可能性も……(^^;


10/5追記

XOのSDモデルを、福島高専吹奏楽部の演奏会で使ってみました。通常より小ぶりのマウスピースの方がバランスが良く、使用したのは
・オリジナル=Bach 1-1/4C 25-117
・ポップス=BestBrass Groove 3C
ということになりました。いつものJK4Bだと、自分の音がほとんど前に行っちゃう感じで、よく聞こえない(^^;

実際、Bachよりもベル縁の巻きが細い、つまりベル外周部が薄いのです。楽器自体は全然ライトウエイトじゃないので、この部分の加工だけそうなっているのだと思います。見た目はBachに似せてあるけれど、ベルはシルキー似です。そうすると、自分に聞こえる音より、前に飛ぶ音の方が割合が大きい。なるほどなー。。。パワーをかけるより、楽なブロウのときに本領を発揮する感じです。


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June 29, 2016

♪♪第12回 小金井音楽談話室「ヴィルタス・クヮルテット~弦楽四重奏の愉しみ:はるかな高みへ、音の旅」 チケット発売中♪♪

 4月に震災の被害に遭われた九州地方で、今度は大雨によるがけ崩れ・地滑りなどの被害が続いています。
 今もなお多くの方々が苦しまれていることを思うと、この5年間をすぐに思い出し、とても他人事とは思えません。

 今も、今後も、私たちは音楽によって人と人の結ばれる親密な時間を地域の皆さまに共有していただきたいと考えています。それが今、私たちにできることと信じて。


* * *

第12回 小金井音楽談話室
「ヴィルタス・クヮルテット
  ~弦楽四重奏の愉しみ:はるかな高みへ、音の旅」

◆日時:9月26日(月) 18:30開場/19:00開演

◆会場:小金井 宮地楽器ホール・小ホール
    (JR中央線 武蔵小金井駅南口駅前)

◆ 出演:
   ヴィルタス・クヮルテット
    三上亮(ヴァイオリン、
          サイトウ・キネン・オーケストラ メンバー)
    水谷晃(ヴァイオリン、東京交響楽団コンサートマスター)
    馬渕昌子(ヴィオラ、紀尾井シンフォニエッタ東京、
           宮川彬良とアンサンブル・ベガ メンバー)
    丸山泰雄(チェロ、紀尾井シンフォニエッタ東京 メンバー)

   ※ご案内:足立優司 (いわき芸術文化交流館アリオス)

◆ 曲 目:オール・ベートーヴェン・プログラム

     弦楽四重奏曲第3番 二長調 作品18-3

     弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 作品74「ハープ」

       * * *

     弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 作品131

◆ 入場料:
  全席自由 2,800円、シニア(65歳以上)2,300円、学生1,800円

◆ 主催・お問合せ:
  小金井音楽談話室 042-388-8099
    E-Mail : koganei-music◎kch.biglobe.ne.jp
         (◎をアットマークに変えてください)
     ※メールにてチケットご予約の方は、お名前と
       ご連絡先、枚数をお知らせください。

  ロンドミュージック 03-3265-9321

◆ チケットのお取り扱い場所
  ・TERAKOYA 042-381-1101
     小金井市前原町3-33-32 ※月曜定休
  ・菊屋文具店 042-381-1379
     小金井市本町1-7-6 ※水曜・日曜定休
  ・セレクトショップゆうすい 042-301-7347
     小金井市中町4-14-15(前原坂上交差点角)
      ※日曜・祝日定休
  ・ブックスキャロット 042-387-0031
     小金井市梶野町5-1-5(東小金井駅北口すぐ)
      ※年中無休
  ・小金井 宮地楽器ホール2F事務局(窓口のみでのお取扱い)

◆ 後援:小金井市、小金井市商工会


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特別企画 (限定30席)

「ランチタイム・コンサート」
 ~老舗フレンチ・レストランで過ごす 至福のひととき~

※日時  9月14日(水) 13:00~15:30頃 (12:30 受付開始)
※会場  フレンチレストラン TERAKOYA

※ 本公演と日時・会場が異なります。ご注意ください ※


 都内屈指のフレンチ・レストラン Terakoya で、一流シェフがこの日のためにご用意する特別メニューによる本格的なフレンチ・コースと、一流演奏家による生演奏をお楽しみになりませんか?
 9/26(月)の本公演に出演するヴィルタス・クヮルテットによる生演奏をすぐ近くでお聴きいただけます♪ 
 ぜひ、お早目にお申込みください。

◎演 奏 : 弦楽四重奏団ヴィルタス・クヮルテット
※演奏時間は40 分程度です。(本公演の演目の一部)
〔料金〕
・ランチタイムコンサート:6,000 円
  (お食事とミニ・コンサートのセット)

◆ Menu ◆
 アミューズ~オードヴル~ポタージュ~メイン(お肉料理)
  ~デザート~コーヒー or 紅茶

※ご予約受付は一週間前 〔9月7日(水)〕 までとさせていただきます。
※公演の3日前よりキャンセル料が発生します(3日前~30%、当日100%)。

・・・  ・・・

♪ ランチタイムコンサートのご予約・お問合せは・・・
 小金井音楽談話室 Tel 042-388-8099
   E-mail : koganei-music◎kch.biglobe.ne.jp (◎をアットマークに変えてください)
 TERAKOYA  Tel 042-381-1101


※よろしければ、下記のブログもご覧ください♪
http://koganei-music.at.webry.info/201606/article_2.html
 

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「音楽を身近に」――

 今回、小金井に6回目の登場となるヴィルタス・クヮルテットは、東日本大震災や福島第1原発の事故発生以前から頻繁に福島県いわき市を訪れ、地域の人たちとの交流を図り、地域の発展に音楽の力で寄与すること、また音楽も地域生活に根付いた形で発展していくことを目指して様々な取り組みをしてきました。また、リーダーの丸山泰雄さんは災害時にいち早く被災した地域にも入って、音楽で人々を力づけ、励ましてきました。

 それらの活動を通じて得た知見から、彼らのコンサートは私たちやそこに住んでいる人びとの想いを理解し、どのような音楽を届ければよいのかを常に考えながら企画されています。そうした活動が、被災した地域の人たちの「心の日常回復」に大きな力となってきたことを、いわき市で活動している私たちは常に身近に感じてきました。

 そのヴィルタス・クヮルテットが一貫して取り組んでいるベートーヴェンは、18世紀末から19世紀初頭、日本では江戸時代後半に、ヨーロッパ社会がフランス革命により大混乱と戦争の時代に突入していったころに活躍した作曲家です。
 その時代、貴族社会から市民社会へと価値観が大きく変化し、その中でベートーヴェンは人間一人ひとりが精一杯“良い人生”を歩むことの重要性に気付き、音楽という媒体によってその営みを精神面から支え、そしてその音楽の中で自らの思想を表明していきました。神に創造された、ありのままの存在と、考え、悩み、努力する存在との相克の中で、それらを昇華して、1つ高い段階に至ることを、当時の人びとに促していたのです。

 歴史は繰り返し、それは巡り巡って、大震災後の現在、困難な状況を生きる私たちにも大切なことを教えてくれます。人生は想い通りには生きられないかもしれない。それでも、高い理想を目指して努力するという行為そのものが重要なのだと。
 ――「運命の喉首をつかんでやる。決して降参はしない」(ベートーヴェンの手紙より)

 今回の公演では、ベートーヴェンが、自身のデビュー期(すでに耳の病気が発症していた)、円熟期(傑作を量産した後の若干のスランプ期でもあった)、集大成の時期(ベートーヴェン自身はきっと、これを完成したことでさらに先を目指したでしょう)の、それぞれの節目に作曲した弦楽四重奏曲を採り上げます。特に第14番は、彼自身が“最高傑作”と周囲に語った、何と7楽章に及ぶ壮大な作品です。“音楽の聖霊”ベートーヴェンの到達した最も偉大な高みへ、お集まりの皆さまも彼らと共に「音の旅」へと出かけましょう。

 興行やコンサートの開催だけがホールの価値ではなく、日常生活における芸術文化の重要さを日ごろから地域の方々に伝え、「生でクラシック音楽を聴く」という時間を生活の一部に取り入れていただきたいという、新たなライフスタイルのご提案をさせていただくことを願い、本公演を実施するものです。
 音楽を身近に愉しむ方法にはいろいろなスタイルがありますが、私たちは特に「生で音楽を愉しむこと」の意義を、小金井市民の方々にお伝えしたいと願っています。それは演奏家の息づかいを肌で感じ、「そのときそこにしかない」一期一会の出会いの中で、お互いが伝え、受け取るという営みの中で成立する、かけがえのない時間だからです。それはまた、人と人との繋がりが希薄になっている昨今、日頃よりほんの少し親密な時間を、重過ぎることなく皆様に共有していただくことによって災害や非常時にも強い、しなやかな「新しいコミュニティ」を築いていくことにつながると、私たちは考えています。

 ♪ ♪ ♪   ♪ ♪ ♪

 音楽をはじめとするアートに触れることの真の目的は、人の心を癒し、好奇心を喚起することにより、激しいストレスに曝される現代社会における人びとの生活の質を向上させることです。更に先の震災以来、非常事態に際して人びとの心を護ることが加わりました。
 それらを踏まえて、小金井音楽談話室ではどなたでも気軽に音楽を楽しんでいただくため、演奏者との距離ができるだけ近くなるような「小ホール」を会場に、クラシック音楽に馴染みのない方でも気軽にお楽しみいただけるように、また、より理解を深めていただけるように、解説・トークつきのコンサートをお贈りしています。
 また、コンサートを開催し、それを皆さまにお聴きいただくことが最終目的ではなく、それを通じて、普段の生活における芸術の存在がいかに重要なのかを、常日ごろから地域の方々に伝え、「生でクラシック音楽を聴く」という時間を皆様の生活の一部に取り入れていただければと願っています。


 ♪ ♪ ♪   ♪ ♪ ♪

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June 22, 2016

♪6/26 立川管弦楽団第70回定期演奏会/7/9 ディナーコンサート♪

昨日は夏至でしたね。ちょっと蒸しっとしましたが、気温はそれほどでもなく……

気が付くと6月下旬(汗)。でもなんだか、やっと今年度のペースに慣れた感じがしています(遅っ)。
今年度から会社の体制もかなり変わり(館長も、事務所自体の所属部も、自分の立場も……)、まあ、美しく言えば「ご隠居」、名実ともに「昼行燈」になったので(別名では戦力外通告ともいう)、ほかのスタッフとの間合いの取り方が難しく。。。

しかし、中堅スタッフを伸ばしていくためには、自分が加わってのOJTでは限界がある、と考えざるを得なかったのです。
結果、“何もしない(会議にも出ない)宣言”をし、中堅スタッフを“リーダー”に(勝手に)任命して、彼と同世代のチーフたちと対等にやり合わせる、という作戦に打って出たのでした(そのことは、盟友である1人のチーフにのみ相談し、ほかは上にも下にも内密、はた目には責任放棄に見えているだろうなぁ…)。
甘えを排して成長を促すのに、ここまでするのは胡錦濤さんくらいか(←違)。

発達心理学者エリクソンの「ジェネラビリティ」という考え方を自己流に(都合よく?)参考にしています。世代交代、外部スタッフの縮小と地元人材の育成という組織課題を、どう果たしていくか。…自分は結局“よそ者”と見られていた、という諦観も、風味付けに少し(苦笑)。

……それがやっと落ち着いて(馴染んで)きた、という頃合い。

   * * *

時間ができたおかげで、少しは自宅に帰りやすくなりました(^^;。

おかげで、都内でも少しだけ、活動を増やせるようになったような……

振り返ると、5/18には、YAMAHAホールで行われた、チェリストの宮田 大さんと、クレモナ在住のチェロ製作家、永石勇人さんによるレクチャーコンサート「ふたりのマエストロ ~ I Due Maestori」での司会を任せてもらい、6/3には武蔵小金井で「おひとり様ですが 何か? ~丸山泰雄 無伴奏チェロ・ライヴ!」を無事に開催することができました。
この2つの公演を通して、「チェロ」という楽器について深く調べることもでき、また本場クレモナでしか接することのできない具体的かつ詳細な情報も入手できたことで、大きな収穫を得ることができました。

また、今年もありがたいことに東京都交響楽団「メトロクラシックス」と、木曽音楽祭の「フェスティバルコンサート」のプログラム解説をご依頼いただきました。昨年の成果を認めていただいた、と素直に喜び、励みとして今年も精進する所存です。

   * * *

さて、今度の日曜日は立川オケの定期演奏会です。

6/26(日) 14:00開演 
@たましんRISURUホール(立川市民会館)

プログラム:
 ロッシーニ/歌劇「ウィリアム・テル」序曲
 ブルックナー/交響曲第5番 変ロ長調

入場料/1,000円
※立川市内在住・在勤・在学の方はご招待

http://tachikawaorchestra.wix.com/info#!70th-leaflet/c24vq


練習にはゴールデンウィーク明けから本格参加。両方の曲とも1アシとして乗ります。モンケのBb管で。
こちらでも、若手の奮起に期待して、メインの乗り番は……かれこれ3年以上アシか降り番にしているところ。


まずブルックナーに関して、朝比奈隆先生の大阪フィルでの演奏を参考に、本当は3パート全部にアシを付けたかったのです。しかも、アシはコラール(と理解される)箇所のみ吹く、つまり1楽章の出だしと、中ほど、そして4楽章の提示部終わりと、全曲の最後、の4か所のみ。

フレッシュな唇で4楽章最後のコラールに臨む部隊を、一揃え用意して待機させる、という、朝比奈先生リスペクト全開の意図なのですが、執行部に理解できるように説明するのが難しく(^^;、1番と3番にアシをつける、ということでご理解いただきました。そして! 3番のアシにはトランペット奏者の竹内さんをお願いして(^^)☆

このフォーメーションのヒントは、フランツ・シャルクがこの交響曲第5番を初演した折に、「ブルックナー先生から全権委任を受けて行った」と主張している改訂で、4楽章最後のコラール部分は、何と別動隊(バンダ)がオーケストラに加わる形になっていたことに関係があります。現在ほとんど顧みられていない粗悪な版との評価が固まったものですが、この初演の時の版での演奏はハンス・クナッパーツブッシュによるものが有名です。これはローベルト・ハースによる「旧全集版」が出版される前には広く聴かれたもので、それ以来受け継がれてきた印象”が大きいのでは、とも思います(巨匠のネームバリューも大きかった、と)。
もっとも、演奏時に指揮者が行った改訂を、ブルックナー自身が取り入れて更なる改訂を行った例は数多く(例えば、交響曲第7番2楽章へのシンバル・バスドラムの追加など)、第5番の終幕でのコラール重視の姿勢も、あるいはブルックナーの意に適うものと、朝比奈先生は判断されたのかもしれません。


ところが、アシが付けば付いたで、結局マエストロから「ここは重ねて」という指示や、メンバーからも「ここを助けて」と依頼があり(ま、経緯はいろいろですが)、そこそこ吹く量が増えた譜面となりました(笑)。

さらに、、、前プロも「スイス軍の行進」のフォルテのところを重ねる要員に指名され……


実は、ほとんどコラールだけを吹く、ということを想定して、あらかじめマウスピースを選んでいたのです。タインの「マティアス・ヘフス」モデル(MH1)を、亀山さんが完全コピーされたもの。このマウスピースにブレゼルマイヤーの「H」リム(HJ リムに空目? ←それはピアニストの名前 ^^;)を付けて吹く予定でした。
しかし、細かな音符も吹くところが増えてスタミナを消費する傾向になり、肝心の4楽章最後のコラールが、後半になって唇の振動が止まってしまう、という事態が起こるようになってしまったのです。。。

そこで、、、2年前の第九コンサートの前プロ、ヴェルディの「アイーダ」から〈凱旋行進曲〉のバレエ部分をカットしてつなぎ合わされた(ピットもバンダもアイーダトランペットも全部吹くという)、キッツい(笑)ヴァージョンで吹いたときに使った、ブレゼルマイヤーの「G2」のことを思い出したのです。
実際には、もうちょっとだけ息が入りやすい、もしくは口径が広く、カップの容積も大きければ良いのに、と思っていて、それに合っていそうな「LG1」を探してみることに。ところが、現在「LG1」はすぐには手に入らないようで、思案に暮れてしまいました。

その時目に止まったのが、「モデルLechner」。カップは「G2」と同じですが、バックボアが「1」(「G2」のバックボアよりも広がっている)なので、「G2」より息が入る。リムは「V」で、内口径はかなり大きい(「H」よりさらに大きい)のですが、Bachの「1-1/4」サイズということなのでかえって自分には良いかも……と。
イメージ先行で、ブレゼルマイヤーの「モデル○○」は、そのメーカーに合わせてあるのだから他社の楽器には合わない、と決めてかかっていましたが、そもそもモンケだし(^^;、調べてみると上記のとおりスペックが明らかになり、「これは使えるのでは」と思って入手。

本当は、おなじケルンタイプであるタインのマウスピース(亀マークです♪)のほうが相性がいいと思われるのですが、ここは一発逆転を狙って(^^;。 どうなりますか、乞うご期待。。。

   * * *

立川の定演が終わったら、次はいわきでソロの本番です♪
7/9(土) いわき市平の、フレンチレストラン Kitao にて、ディナー・コンサート。
18:00よりお食事タイム、19:30からコンサートです。
チケット売り上げの一部を、熊本県の震災被災地に寄付することにしています。

私は、
J.S. バッハ/コラール「おお血潮に塗れし御頭」
~「マタイ受難曲」より
モーツァルト/アヴェ・ヴェルム・コルプス
シューマン/献呈
ドヴォルザーク/わが母の教え給えし歌
J.S.バッハ/アリア~「ゴールトベルク変奏曲」より

などを演奏します♪

今回は、マーシンキヴィッツのBb管、ロータリーフリューゲル、ストンビ・エリートのD-Eb管ボディに Bachのフィラデルフィアモデル229ベルを付けたもの(Schilke のベルより吹奏感が重くなり、今回はその方が楽なのです)を使用。しかし、Schilke のベルは根元まで入る(完全に入れると、なぜかEb管になる)のですが、さすが亀山さんの削りだしアダプターはすり合わせがきっちりできており、グリグリ入れても1/3程度までしか入りません(それ以上は怖くて嫌)。ちょうどD管としてはピッタリの位置なので問題はなく、亀山さんの技術の凄さが改めて明らかに☆
また今回は、G管ソプラノビューグル(ダイナスティ M350S)も使用しますが、この楽器をどう使うか(使ったか)は、追ってご報告(の予定 ^^;)♪ 永らくEb管アルトトランペット、または長管ロータリー(F管)の手ごろなものを探していたのですが、やっぱり見つけやすい(そしてお手頃)なのはG管のこれ、なんですよね(^^;
G管は、今回の楽器のように3本バルヴが装備されていれば、実音譜( in C )の楽譜を読むのに都合がよいのです。フラット一つ付けて、ヘ長調として読めばよいので。 in B の楽譜の場合は、フラット3つ付いた変ホ長調で。

ビューグルというと、無弁の信号ラッパのことを指していることもありますが、「ドラム & ビューグル・コー」で使用される金管楽器群のことでもあります。前者は後者のルーツですね。アメリカ軍が使用していたビューグル(信号ラッパ)が民間に払い下げられ、青少年の健全育成を目的として、「鼓笛隊」が組織された上で取り入れられたのが始まりとされています。
やがてコンテストや全米組織が立ち上がり(DCI)、楽器には音を変えられるピストンバルヴが1本、また1本と装備されるようになり、ついにトランペットと同じ3本ピストンが装備されると、すべてのクロマティック音階が吹けるようになったのです。
そうなると、「じゃあトランペットを使わせてよ」ということにもつながり、ついに1998年、ルール改正によりBb管やF管の金管楽器も使用が認められて、「マーチングバンド」の多様化が決定的となりました。
そういうわけでビューグル(=G管)は使用される頻度が低下し、やがては受注生産しかされなくなるのでは、と言われるほどになっています。

だったら、今のうちに入手しておきましょう、ということに(←違)。珍しい楽器(見た目は、ロングコルネットに似ていますが)の、ダイナミックな中低音、魅力的に演奏できますかどうか、お楽しみに♪

   * * *

(7/7追記)

ここまでの試行錯誤の結果、G管ビューグルにはBob Reevesの C2J を組み合わせるのが、抵抗感や音程バランス、レガートの滑らかさなどのバランスが最も良い、という結論になりました(記譜音で上のソ=実音D が低く、1-3の指で出さないといけないことだけが難点)。ビューグルというよりは、むしろフリューゲルホルンに近いサウンドになりますが、ソロで使うにはかえって良かった☆

管長と音程の関係が短三度上がる(Bb音=ミのフラット)ため、低音域が予想以上に豊かでコントロールしやすく、一方で管のレイアウトやメンズールがロングコルネットに近いためか、high-Bb音の一つ下のA音(記譜上は上第三間のレ)も、苦も無く実演に使うことができるなど、実用音域が広いのもGood。

本番では特に、ゴールトベルク変奏曲のアリアを前半このG管で、ピアノ・ソロでリピートしてもらったあとの後半は、D管で1オクターヴ高くするという仕掛けで演奏します。このD管にはBachの5Vを合わせてサウンドの方向性を揃えつつ、コントラストを際立たせることによって、幅広いオルガン的アイデアの演奏をお楽しみいただければ、と考えています。


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April 16, 2016

心よりお見舞い申し上げます

 熊本県を中心に大きな地震が発生し、九州の広い範囲で被害が出てしまいました。東日本大震災から5年が経ったばかりだというのに、また震度7、M7.3 という大規模災害がでてしまい、福島県いわき市にいても、“あの日と、そこから数ヶ月”のことをまざまざと思い出し、心が痛くなって落ち着きません。
 災害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。皆さまのご無事と一日も早い日常生活のご回復を、心より祈っております。 芸術文化に携わるものとして、「音楽は人を幸せにする」ということを信じて、これまでも復興や日々の業務に取り組んできました。今できることをひとつからでも、まず始めます。

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April 14, 2016

♪♪6/3(金) 第11回 小金井音楽談話室 「おひとり様ですが 何か?~丸山泰雄 無伴奏チェロライヴ!!」♪♪

新年度も、早くも2週間。
いわきアリオスでも、今年度は本庁の所管部が変わったり、いろいろと慌しい年度始めとなりました。おかげで、桜を愛でる暇もあまりなかった……(>_<)

……というバタバタの状態ではありますが、小金井音楽談話室も9ヶ月ぶりに、次のコンサートに向けて走り始めます。
今度は、おなじみヴィルタス・クヮルテットのリーダー丸山泰雄さんが、全編一人で魅せて☆聴かせるコンサート♪

 * * *

■第11回 小金井音楽談話室
「おひとり様ですが 何か?
  ~丸山泰雄 無伴奏チェロライヴ!! 」

♪日 時: 2016年6月3日(金) 19:00開演(18:30開場)

♪会 場: 小金井 宮地楽器ホール(市民交流センター)
         小ホール(1階)
      (JR中央線・武蔵小金井南口駅前)


♪出 演: 丸山泰雄 (チェロ)  足立優司(ご案内)

♪プログラム:
  J.S. バッハ/無伴奏チェロ組曲 第1番
                 ト長調 BWV1007
  B. ブリテン/チェロ組曲Op.72
  G. カサド/無伴奏チェロ組曲
  黛 敏郎/無伴奏チェロによる「文楽」
  G. ソッリマ/ラメンタツィオ
  Z. コダーイ/無伴奏チェロ・ソナタ Op.8


◆ 入場料:
   全席自由2,800円、シニア(65歳以上)2,300円、
   学生1,800円

◆ 主催・お問合せ:
   小金井音楽談話室 042-388-8099
       E-Mail : koganei-music◎kch.biglobe.ne.jp
             (◎をアットマークに変えてください)
      ※メールにてチケットご予約の方は、お名前と
        ご連絡先、枚数をお知らせください。

   ロンドミュージック 03-3265-9321


◆ チケットのお取り扱い場所
   ・菊屋文具店 042-381-1379  ※水曜・日曜定休
       小金井市本町1-7-6 (黄金の井戸隣)

   ・セレクトショップゆうすい 042-301-7347 ※日曜・祝日定休
       小金井市中町4-14-15 (前原坂上交差点角)

   ・ブックスキャロット 042-387-0031 ※年中無休
       小金井市梶野町5-1-5 (東小金井駅北口すぐ)

   ・小金井 宮地楽器ホール 2F事務局
        (窓口のみ・一般券のみ取扱い)

◆ 後援:小金井市、小金井市商工会

※よろしければ、下記のブログもご覧ください♪

http://koganei-music.at.webry.info/


 * * *

 「音楽を身近に――」

 アートに触れることの真の目的は、人の心を癒し、好奇心を喚起することにより、激しいストレスに曝される現代社会における人びとの生活の質を向上させることです。更に先の震災以来、非常事態に際して人びとの心を護ることが加わりました。より手軽にこうした芸術文化に触れることができる環境整備を積極的に行い、心豊かな市民生活の支援を行うことで、小金井市が持つ魅力をより高めていくことにも繋がることを願い、本公演を実施するものです。
 どのような施設(ハード)を造るか、ではなく、造った後にそこで何が行われるか(ソフト)が重要であり、それこそが豊かな市民生活を支援することに繋がるのだと、私たちは考えます。

 これまで小金井において5回コンサートを開催したヴィルタス・クヮルテットは、震災以前より頻繁に福島県いわき市を訪れ、地域の人たちとの交流を図りながら、音楽が地域生活に根付いた形で発展していくよう様々な取り組みをしてきました。
 そしてリーダーの丸山泰雄さんは、大震災発生の1ヵ月後には被災した地域に入り、無償で人々を音楽によって力づけ、励ましてきました。この震災による津波の被害で、親戚4人を亡くされた丸山さんにとって、それは他人事ではなかったのです。その経験から、彼のコンサートでは常に、コンサートを聴いてくださるであろう人びとがどのような想いを抱いているのかを想像し、理解して、プログラムを組み立てています。特に、人は苦しみを抱えた時、それから目を逸らすようなことをしても決して救われることがない、ということを理解し、そうした「想い」をまっすぐに受け止められるような「真の名曲」を演奏することを、丸山さんは大切にしています。

 今回の公演では、日本人の心情を最も克明に、詳細に表現している「黛敏郎/文楽」と、ヨーロッパにおいて、古代「フン族」の末裔といわれ、「東洋人の心」を遺伝子に持っているとされるハンガリーの人々が歌い継いだ民謡素材を数多く収集し、自らの作品にも生かしているコダーイの「無伴奏チェロ・ソナタ」を軸に、聴く人の心を捉えて離さないチェロの名曲を特集してお贈りします。

 チェロの丸山泰雄さんからのメッセージをご紹介します。

 偉大なチェリスト、パブロ・カザルスにより再発見され、チェロの「旧約聖書」ともいわれるJ.S. バッハの「無伴奏チェロ組曲」全6曲以降、200 年間にわたり目立った作品がなかったチェロのための無伴奏曲というジャンルに、20 世紀に入ってから革命的ともいえる作品を書き上げたのが、ハンガリーの作曲家ゾルターン・コダーイでした。
 当時の演奏家の常識をはるかに凌駕した超絶技巧が用いられていたため、初演の後、永らく演奏不可能とされていたこの「無伴奏チェロ・ソナタ」ですが、60 年代になって、やはりハンガリー出身の名チェリスト、ヤーノシュ・シュタルケルの名録音により一躍注目されるようになり、世界中のチェリストもこぞって取り上げるようになります。
 また同時期に、イギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンの仲介により西側に知られるようになったソ連のチェリスト、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチの圧倒的表現力、超人的技術に創作意欲を刺激された数多くの作曲家が、彼のために無伴奏作品を含む160 曲以上のチェロ作品を捧げ、ここにようやく“無伴奏チェロ作品群”という一つの完成されたジャンルが確立します。

 今回の演奏会ではバッハとコダーイを中軸に、6ヵ国の作曲家による無伴奏チェロ作品を採り上げます。
 各国の民族的特徴や、時代背景が濃厚に反映された各作品を俯瞰するこのコンサートは、同時にカザルスやガスパール・カサド、シュタルケル、ロストロポーヴィチなど、チェロ演奏の水準を飛躍的に高めた巨匠たちへのオマージュでもあるのです。どうぞお楽しみに。
                                      丸山泰雄


 「音楽を身近に」愉しむ方法にはいろいろなスタイルがありますが、私たちは特に「生で音楽を愉しむこと」の意義を、小金井市民の方々にお伝えしたいと願っています。それは演奏家の息づかいを肌で感じ、「そのときそこにしかない」一期一会の出会いの中で、お互いが伝え、受け取るという営みの中で成立する、かけがえのない時間だからです。それはによって、人と人との繋がりが希薄になっている昨今、日頃よりほんの少し親密な時間を、重過ぎることなく皆様に共有していただくことによって災害や非常時にも強い、しなやかな「新しいコミュニティ」を築いていくことにつながると、私たちは考えています。


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 2011年3月11日に発生した大震災、それに引き続く原発事故から5年が過ぎました。

 被災地となった東北の各地ではハード面の復興が進み、日常生活が戻りつつあるように見えます。しかし、原発事故の被害を受けている福島県内の各地では、未だ除染が完了していない地域もあり、また避難されている双葉郡の人びとのための仮設住宅も、現在でも各地に数多く存在しています。これらの問題が完全に解消される日がいつになるのか、目途もつかない状況であることに変わりはありません。
 そうした自治体のひとつ、福島県いわき市で日々そうした人々の生活に寄り添い、芸術文化の側面から復興を支援する業務に従事する私たちは、ハードの面での支援が一段落するこれから、むしろソフト面での復興に力を入れていかない限り、人が以前の豊かで人間的な生活を取り戻すことはできないことを実感しています。
 しかし、それらはその場所にいて、人々と生活を共にしなければ分からないことでもあります。「今更」、「未だに」など、すでに震災や原発事故の記憶が薄らぎ、つらかった記憶をよみがえらせるような現実を疎ましいものと捉える風潮も起こってきています。そのような中、もし私たちが語ることを止めたとしたら、「フクシマ」の記憶は瞬く間に風化してしまうことでしょう。
 もし可能であるならば、私たちは近い将来に南関東地震や南海トラフ大地震の発生も予想されている、この東京の人たちにも、先の震災に際していわき市で学んだ音楽芸術の持つ力の意義を少しでも伝え、日ごろから音楽を身近に感じ、生活のなかに気軽に音楽を楽しめる時間を取り入れるようなライフスタイルのご提案をしていきたいと考えています。

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March 01, 2016

武久さんのCD「ゴルトベルク変奏曲」と、3/3(木) OTTAVA liberta (3/6 再放送)♪

早くも3月になってしまいました。年度末、です(汗。

でも、相変わらず今日は真冬のような寒さ。いわきなのに雪もちらつき、北海道では暴風雪に見舞われるなど、季節の歩みは暦どおりには行かないようです。

ところで先日2/7(日)に発売となった、武久源造さんがいわきアリオス所蔵の「16フィート弦付ジャーマン・チェンバロ」を用いてレコーディングされた「バッハ/ゴルトベルク変奏曲」のCDが、音楽之友社『レコード芸術』3月号で「特選盤」となりました!! ぜひ、お聴きください♪

http://www.kojimarokuon.com/


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さて、まもなく震災から5年。いわき市も「ハード面の復興は一段落」として、次年度からは「ソフト面の復興を精力的に進める」という方針が出されています。しかし……市内を見渡すと、確かに被災した建物や建築物はなくなり、中心市街地はきれいになりつつありますが、それでも空き地のままになっている場所があったり、また沿岸部では、ようやく災害復興の道筋が見えてきた、と言う段階であったり、と、私たちもまだまだこれから、市内の各地域で、そこに住んでいる人たちとのコミュニケーションを密にしながら、何が音楽にできるのかを見定めていかなくてはならないと感じています。


そうした中、先日2/27(土)にいわきアリオスでは、大野和士さん指揮・東京都交響楽団「いわきプロムナードコンサート」を開催しました。

プログラムノートを下の方に載せますが、このコンサートを「インターネット・ラジオ OTTAVA」の林田直樹さんが取材してくださいました。

演奏会を聴いていただいた後、音楽監督の大野和士さんにインタビュー、その後2時間ほどお二人で貴重な話を交わされました。
それから車に林田さんをお乗せし、夜の国道6号線を北上。事故から5年を迎える1エフの近くまで行きました。
1年前と何も変わらない、バリケードの続く陸前浜街道。折り返して広野町まで戻ってきた時、人の生活している空気が感じられた瞬間のホッとした気持ち……。
現在もずっとあの場所が、たった40キロちょっとのところに存在していることを改めて思い知らされました。

アリオスに帰着後、当館の広報グループチーフ長野さんとともに、林田さんのインタビューを少し受けて、その日の予定は終了。


それらをまとめて、3月3日(木)の14:00~17:00に放送される、インターネット・ラジオ「OTTAVA liberta」にて、林田さんのナヴィゲートによって 15:30頃から30分間ほど、オンエアされることになりました♪
(再放送は3月6日(日)の同じ時間です。)

お時間のある方は、ぜひ現在のいわきの様子をお聴きになってください(^^)。

http://ottava.jp


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先の震災からようやく1年が経過しようかという2012年2月22日、東京都交響楽団による震災復興支援事業として、SEA WAVE FMいわき主催による「ボクとわたしとオーケストラ 〜音の輪でつながろう♪〜」が開催され、午前・午後2回公演で、それぞれ1800人ずつの小学生・中学生を招待して演奏会が行われました。アリオスはその3ヵ月前の11月にようやく再オープンしたばかり、まだまだ先の見えない戦いが続いていた時期のことです。

クラシック音楽ファンからは、親しみを込めて「都響(ときょう)」と呼ばれているこのオーケストラとアリオスの関わりは、2010年7月4日の「いわきアリオス・グランドオープン一周年記念 小林研一郎指揮 東京都交響楽団 第九演奏会」から始まりました。

この素晴らしい演奏会、素晴らしいオーケストラの響きの記憶が、震災を経て、この街で育つ子どもたちへの芸術を通じた支援を実現させる原動力のひとつとなり、FMいわきや都響の皆さまをはじめとする関係各位の努力によってこの取り組みは継続され、今回5周年を迎えることとなったのです。


都響では設立50周年を迎えた2015年の4月から、新音楽監督に大野和士氏が就任。当館広報紙「アリオスペーパーvol.44」の特集記事において音楽ジャーナリスト林田直樹氏が著してくださったように、それによってわが国の音楽シーンに新たな1ページが開かれようとしています。

その大野氏が今回いわきに来演し、第5回「ボクとわたしとオーケストラ」公演を指揮。そのことは彼らが、いわきのことを大切に想っているという証し。“世界”と私たちを繋ぐマエストロの想いは、必ずやいわきの子どもたちを“音楽大好き”にし、彼らの未来を音楽が支えてくれることになるでしょう。

本日は、震災後4年間、一般の市民の方々にお聴きいただけなかったこの都響の演奏を、じっくりお聴きいただくための特別な演奏会です。しかもこの“いわきプロムナードコンサート”は、東京・赤坂のサントリーホールで開催されるコンサートと同じメンバー、同じプログラムで聴くことができる、まさに現時点で日本最高クラスの演奏会のひとつです。

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そのプログラミングについてマエストロは昨年4月、林田氏と筆者に語ってくれました。
今回組まれた曲目の中で、ベルリオーズ作曲〈ローマの謝肉祭〉と、チャイコフスキー作曲〈イタリア奇想曲〉は、ともに祝典、お祭りの音楽。ヴィヴィッドで活性的、飛び出す絵本のような気持ちで聴ける音楽である、と。これは“音楽の持つ力”、人を元気にするその力を、お聴きの皆さまに感じていただくためのマエストロ&都響からの贈り物です。


日本が明治維新(1865年)を境に、社会構造が根本から変化したことは、ちょうど朝の連続テレビ小説『あさが来た』でも描かれていますが、実はその時代と相前後して、ヨーロッパでも貴族社会から市民社会への社会構造の大転換が起こりました。それまで貴族のものであった芸術は、社会の主役交代とともに多くの市民たちのために、様々な花を咲かせていくこととなります。そうした時代に活躍したベルリオーズは、当初家業を継いで医師になるべく勉強していたのですが、パリで数々のオペラを観るうちに自らもオペラを作曲したいと考えるようになり、パリ音楽院に入学。1830年に大作〈幻想交響曲〉を作曲して一躍その名を知らしめます。それでもなおオペラへの情熱は冷めず、ついに1838年にオペラ〈ベンヴェヌート・チェルリーニ〉をパリ・オペラ座で初演。しかしこの上演は大失敗となってしまいました。彼はこの作品を何とか立て直そうとして、オペラで使った2つの旋律を使って演奏会用の作品を作り、巻き返しを図ります。それがこの序曲〈ローマの謝肉祭〉、1844年にパリで、彼自身の指揮で初演されて大成功を収めました。この作品では、彼自身の著書『管弦楽法』(1844年刊)を体現するような輝かしい響きが作り出されており、「哀愁漂う」「夢想的」「気高い」と表現されたコール・アングレが切々と主題を歌い、またイタリアの「サルタレッロ」という快活な舞曲のリズムも効果的に用いられています。


ところでヨーロッパの近代化、つまり市民社会の発展は、時間差を持って東へと広がっていきます。ヨーロッパの「辺境」たるドイツは、ようやく1871年にドイツ帝国として統一。そしてさらにその外側、帝政ロシアでは依然、軍事貴族による専制政治が続き、その変革はロシア革命まで待たなくてはなりませんでした。そのような中、ロシアでは芸術についても、「言葉を使う」詩や戯曲を除き、そのほとんどを国外から招聘した芸術家に頼っていたため、ロシア人の、ロシア人による、ロシア人のための音楽教育は、1861年にペテルブルグ音楽院が開校したのが最初だったのです。チャイコフスキーはその1期生、ロシアに住むロシア人としてプロフェッショナルの音楽教育を受けた最初の世代の作曲家でした。当然彼は注目され、その結果1877年からは、鉄道王の未亡人ナジェージダ・フォン・メック夫人から破格の年金を受け取ることができるようになりました。ところが同じころ、彼は人生最大の危機を迎えます。教え子と称する女性からの求婚を断れず、結婚した挙句に2ヵ月あまりで彼は逃げ出してしまい、深刻な精神的ダメージを受けてしまったのです。その危機を救うべく、弟は彼を陽光溢れるイタリアへと連れて行き、その地で彼は、交響曲第4番を含むいくつかの作品に着手できるまでに回復しました。それ以後もイタリアの地は彼を魅了し続け、1880年、“ローマの謝肉祭”を体験したチャイコフスキーは、〈イタリア奇想曲〉に着手。もともと“民謡主題に基づくファンタジー”と名づけようとしていたように、いくつかの主題が様々なエピソードの間に配され、幾度も登場しながら循環して、全体の曲想をまとめ上げています。冒頭のファンファーレは、彼が宿泊したホテル近くの駐屯地で毎夕吹き鳴らされたもので、そこに重々しいメランコリックな主題が続きます。このリズムは明らかな葬送行進曲で、そこには古き自分の苦しみを葬る儀式のような厳かな佇まいが宿っています。やがてコントラバスの伴奏の上にイタリア民謡「美しき娘さん」の主題が表れると、再び重々しい葬送の音楽を経て、後半はナポリの民族舞曲「タランテラ」の目まぐるしい展開のもと、華麗に全曲は結ばれます。

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人は“明るさ”を感じると、必ずそこに生じる“翳(かげ)り”を感じてしまうもの。悲しみを癒そうとするとき、単に励ますだけではダメなように。ドヴォルザーク作曲〈弦楽セレナーデ〉は、5年間のいわきの街の歩みにマエストロが想いを寄せて、そっと聴く人の心を抱きしめてくれるような曲です。それはまるで、胸の締め付けられるような想いを私たちと分かち合うかのようでもあります。

ドヴォルザークの出身地ボヘミア地方は、永らくオーストリア帝国の一部で、その中心地プラハは、前世紀にヨーロッパで唯一モーツァルト晩年の作品を熱烈に支持し、また多数の音楽家を輩出するなど、帝国内でも有数の文化的拠点となっていました。そのようなボヘミア地方の独自の文化を取り入れ、「チェコ国民楽派」の開祖となったスメタナ(1824~1884)に若いころ薫陶を受けたドヴォルザークは、やがて作曲家として認められるようになり、1875年、ブラームスの後押しもあってオーストリア政府の奨学金審査に合格します。経済的に安定し、作曲に専念できるようになった彼はこの年、出版された初めての交響曲となった第5番や弦楽五重奏曲、ピアノ四重奏曲とともに、この〈弦楽セレナーデ〉を完成させました。これらはチェコ独自の音楽を取り入れるという、自らの作風を確立する重要な作品群となっており、特に〈弦楽セレナーデ〉は、それまでの修行時代を振り返り、その苦労を思いやるとともに、新たなステップへと進む確固たる意志を表明する、幸福感と自信に満ちた作品となっています。序奏を持たず、印象的な主題から全曲が開始されますが、この美しい主題による部分と、中間部の弾むようなリズムが特徴的な舞曲風の中間部とが対比させられた第1楽章に続き、短調の優美なワルツ部分と叙情的な中間部を持つ第2楽章、快活な対位法的スケルツォの第3楽章、静かな中に憂いを帯びた緩徐楽章=「セレナード」そのものともいえる第4楽章を経て、みずみずしい生命力に溢れる終楽章を迎えます。

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そして今回、ぜひラヴェル作曲の〈ボレロ〉を入れたかった、とマエストロは語ります。それはこの〈ボレロ〉が、2011年11月1日(火)に震災以来8ヵ月を経てアリオスが全館再オープンを果たした際に、昨年(2015)末で惜しまれつつ引退したバレエダンサー、シルヴィ・ギエムが東京バレエ団とともに中劇場で踊り、多くの市民を熱狂させた記念碑的演目だからです。

19世紀末から20世紀初頭、ヨーロッパ各国が帝国主義的政策による束の間の繁栄の末、2度にわたる世界大戦へと突き進む時代に、ラヴェルは音楽によって様々な情景や心情を描き出そうとした“印象派”と後に呼ばれるグループの代表格として活躍。そのラヴェルが1928年、53歳のときに女性舞踊家イダ・ルヴィンシテインから依頼を受け、スペイン人役のダンサーが踊るための曲として作曲されたのが、〈ボレロ〉です。

この作品では、スペイン伝統舞踊の一種である「ボレロ」からヒントを得た、2小節単位の同一のリズムが169回繰り返されるその上を、たった二つの旋律が、しかも構造自体は変化も進化もせず坦々と繰り返し奏でられていきます。それはあたかも、人の一生を垣間見るかのようであり、しかし、その人生の一日一日に私たちは、その都度新しい“意味”を付け加え、昨日とは違う今日、そして明日を生きる、その様子を描いているようでもあります。曲の構造は変化しなくても、その表情は次々と移り変わり、曲の終盤、少しの間だけ転調して、緊張感を高める。そこに注力されるエネルギーはこれまでと比べても格段に大きいものとなり、怒涛の中を突き抜けるように、更なる前進を意図しつつ曲は閉じられるのです。

震災からまもなく5年が経とうとする今、再び〈ボレロ〉を、今度はオーケストラで聴くということは、周りにいる多くの人たちが、この街に寄り添い、次のステージへと進む私たちを後押ししてくれていることを、改めて感じる機会でもあるのです。そしてコンサートが終わったら、また明日に向かって歩いていこう、そう思っていただけることを願っています。 

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